60代の母が人生2度目の突発性難聴になってから、1か月以上が経ちました。
現在、左耳(30年ほど前に発症)はほぼ聞こえない状態で、右耳(1か月ちょっと前に発症)は周波数に寄りますが中程度の難聴です。
ステロイド点滴と服薬による治療を終え、現在は補聴器をレンタル中です。
実際の突発性難聴の症状について、発症時については色んな所で目にするんですが、治療後について詳しく書かれていたところがあまりなかったので、そのことについてまとめていきたいと思います。
あとは補聴器を付ければ聞こえるようになるわけではないということも分かってきたので、そのことについても詳しく書いていきます。
聴力と聴こえ方は違う。数値で計れない難聴の症状
突発性難聴というのは「急性感音難聴」のことです。感音難聴というのは、外耳や中耳には問題はなく、内耳や聴神経に何らかの問題があることによる難聴です。
母は発症4日後からステロイド点滴治療を開始しましたが、残念ながらほんの少し聴力が上がっただけでした(平均9dBあがりました)。
耳が健康な人からすれば「○○dB(デシベル)ということは、それくらいは聞こえているんだな」と思いますが、実は違うようです。
○○dB聴こえているにしても、聞こえにくかったり聴こえやすかったりするそうなんです。
(デシベル…聴力の単位。数字が小さいほどよく聞こえているということになります)
どういうことかと言うと、感音難聴では「音が聞こえていること」と「音を聞き取れること」は必ずしもイコールではないということなんです。
母に今残っているのは以下のような症状です。
・音自体は聞こえているが、音割れして何を言ってるか分からない
・風で雨戸が揺れる音が頭中に響いて激痛が走る
・バイクの音か車の音か聞き分けできない
・人の寝息が聞こえなくなった(耳を近づけても聴こえない)
・1日の中でも聴こえ方がコロコロ変わる
・自分の足音が聞こえない(たまに聞こえる時もあり)
・テレビの音は特に割れやすく耳が痛い
音が割れることが特に多いようです。これがなくなれば、まだ聞き取りやすくなるのではないかと思うのですが…。
あと、突発性難聴が発症した時から、頭の中で響くかのような耳鳴りが続いているそうです。耳鳴りはよくある症状ではあるんですが、後遺症として残ることも多いです。
聴力検査では「聴こえるか聴こえないか」を計ります。
でも実際に生活をしていく時に大事なのは『聴こえた音が何なのかを知ること』や、『人が何をしゃべっているのかを理解する能力』です。
・人が喋っている声自体は聞こえてくるが、何を言っているかが分からない
音自体が聞こえていたとしても、こういった症状が残っているので、なかなか普通の生活をするのが難しい状態です。
医師によるとそういう風に聞こえる原因は不明だし、治療法も分からないということでした。ただ、聴力が今のまま固定するとしても、聴こえ方については今後も変化する可能性があるとのことでした。
補聴器を付ければ聴こえるようになるって訳じゃない!
現在レンタル中の最新型の補聴器です。
Bluetooth機能を使い、1秒間に100回も計算して音量を調整します。前から聞こえる音だけでなく、360度の音を全て聞き取れるようにしてくれるし、なおかつ音量の調整まで自動的にしてくれるのです。
もちろん周波数(音の高さ)によって音をどれくらい増幅させるかなども、細かく調整できます。
私は補聴器を付ければ、きっとよく聞こえるようになるのだろうと思っていました。小さかった音が大きく聴こえさえすればいいと思っていたんです。
特に最新式で機能が多いものを使っているので、さぞよく聴こえるだろうと予想していました。でも現実は全く違いました。
母によると、補聴器を付けてみて以下のような症状があるようです。
・音量を下げてもらうと聞こえないので調整が難しい
(聞こえないか聞こえ過ぎるかになってしまう)
・音が割れる
・音の種類によって気分が悪くなる、頭痛がする
・テレビを聞くのにちょうど良く設定すると、人間の声が聞こえにくい
・人の声が機械っぽく聞こえる
・今までの聞こえ方と違って違和感がある
なお、最新型はサイズが小さいので、耳にかけて重いとかそういったことはないそうです。
ずっと耳にイヤホン部分を入れていることについても、違和感はあまり感じないそうです。
家族が気を遣ってあげるべきこと
難聴という病気は体の内側の病気なので、パッと見は普段通りです。外から見てみると、何か病気であるという風には全く見えません。
だからこそ気を付けないといけないことがあります。
・大きな声を出さないこと
・テレビのボリュームは難聴の患者さんに合わせる事(1日の中でも聴こえが変化するため)
・テレビの音が辛いと言われれば速やかにテレビを消すか、消音にして字幕にして見ること(もちろんイヤホンでもOK)
・音割れや耳鳴りやめまいがあることも多いので、辛い時すぐ休める環境を作ること
・ストレスを与えないよう注意すること
・ストレス源から離れさせてあげられる場合は、離れさせること
・意識的に休息を取ってもらえる環境を作ること
・聞こえないことについての不安などを聞いてあげる事
・治療を無理強いしないこと
・受けたがっている治療があれば可能な限り受けさせてあげる事
見た目は普通なので、ついつい「寝てばかりだな」とか「もう治療は終わったんだから、しっかりあれもこれもやって欲しい」と思うかもしれません。
しかし、突発性難聴がスッキリ何もなく治るということはあまりないです。6割ほどの方が難聴の症状を抱えたままになりますし、後遺症(耳鳴りやめまい)が残ることが多いです。
耳が急に聴こえなくなるというのは、予想外に辛いことです。これ以上悪化するかもと思うでしょうし、なぜ治らないんだ?!といら立っているかもしれません。将来を悲観してしまうこともあるでしょう。
母の場合は両耳なので、特に不安感が強いです。当たり前のことですが…
しかし外から見れば前と変わりありません。ですので、共感力が大事です。
愚痴を吐かれた時や八つ当たりされた時でも『そりゃ音がちゃんと聞こえなくなったら不安なのは当たり前だろうな』とか、ずっと寝ていても『きっと症状が色々あって辛いんだな。ゆっくり休めるように家事など出来る事はやっておこう』などなど。
見たいテレビも音を出して見れないことが多いですが、『しんどそうだからテレビは見ないで消しておこう』『音を消して字幕で観よう』という風にしてあげると、患者さんも過ごしやすくていいかと思います。
なお、家族にもストレスがかかることと思いますが、そこはぐっと堪えつつ、うまくストレス発散できるといいですね。
私はネットサーフィンとサッカーの試合観戦(DAZN)、将棋の試合観戦(ニコ生)がストレス発散になってます。あとメダカ飼育だったりバラ栽培などなど。患者さんにつらく当たることだけは避けたいですね。
治療の無理強いはやめた方がいいかも
母は他にも星状神経節ブロック注射などの治療を勧めましたが、断られました。
家族も、聴力をなんとか戻さないと両耳が聞こえなくなったら大変だ思い、強く治療を進めすぎてしまいましたが、それがとても嫌だったようです。
そのことから、患者さん本人がしたくないことは無理強いしないことも大事だと感じました。
それが例えば「何をしゃべってるか分からないから外に出ない!治療にはいかない!」ということだとしても、本人がどうしても嫌だというなら仕方がありません。
最低限、ステロイド治療だけは受けて欲しいですけどね。母はステロイド点滴治療を頑張ってくれたので、それだけは本当に良かったと思います。それ以外の治療が嫌だというなら、仕方がないです。
それで、そのまま何もせず放っておかず、家族が出来る事はやってあげられるといいかなと思います。
例えば家事分担であったり、余裕があればマッサージをしてあげる、話を聞いてただただ共感してあげるとか、そういう出来る範囲でもいいので何か手助けできるといいかなと。
患者さん本人が出来る事では、体の歪みを治すためにバランスボールに乗ってみるとか、意識的に休息をとるとか、肩が凝ることは避けるなど。あとは肩や首を温めて血流を良くするなどですね。
ストレスなく続けられることを見つけ出すことが大事なのかなと思います。